ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島(原題:The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader) のサントラ

若い頃はクラリネット、ギター、キーポード等を演奏する事が主だったが、次第に音楽制作側に力を入れるようになったデヴィッド・アーノルド(David Arnold).
彼は今イギリスで最も期待される若手作曲家の一人である.

友人の映画監督ダニー・キャノンに誘われ、プレイデッド(原題:The Young Americans)の音楽を担当したのがきっかけで映画音楽の世界に入った彼は、『インデペンデンス・デイ』(原題:Independence Day)でグラミー賞を受賞.
その後、ジェームズ・ボンド(James Bond)で有名な大御所ジョン・バリー(John Barry)の大ファンだったアーノルドは、007シリーズのテーマ曲の新ヴァージョンアルバムを制作.これをきっかけにバリーの推薦で、ボンドシリーズのサントラを手がけるようになった.
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(原題:The World Is Not Enough)を監督したマイケル・アプテッドとも何回か仕事をし、彼が監督する『ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島』(原題:The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader)の音楽を第一章と第二章を受け持ったハリー・グレッグソン=ウィリアムズに代わって担当するに至る.

ナルニア国物語 第3章:アスラン王と魔法の島

The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader

「帆船の絵」 “The Painting” は、新たなるナルニア国への冒険を暗心躍る曲.カスピアン王がエドマンドとルーシーを船員に紹介する時に流れる「ナルニアの王と王女」 “High King and Queen of Narnia” の静かな美しさはグレッグソン=ウィリアムズの曲への想いが感じられる.
牢屋での意外なハープソロ曲、「ベルン卿」 “Lord Bern” に聴き入り、「緑の霧」”The Green Mist” は、コーラスをうまく使った知り得ぬ恐ろしさを感じる.
カスピアン王がエドマンドに剣を授ける時に聴かれる「ナルニアの剣」”1st Sword” はマジカルエレメントたっぷり.
「エドマンドの試練」 “Temptation of Edmund” や、「リリアンディルとくらやみ島」 “Liliandil and the Dark Island” の暗さと「ひねくれ者ユースチス」 “Eustace on Deck” や「声の島」 “The Magician’s Island” のような遊び心を持った明るさをうまくバランスさせた曲作りにも感心する.
「甘く香る水」 “Sweet Water”、「アスランのいる海岸へ」 “Ship to Shore”、「家に帰る時」 “Time to Go Home” の三曲は子供達同様心を残し、ナルニア国に観客さえも別れを告げ辛くする効果がある.

グレッグソン=ウィリアムズのファンは寂しさを感じるかもしれないが、アーノルドがしっかりと跡を継いでいるのでこのサントラも聴いてほしい.

【関連項目】

デヴィッド・アーノルド作品
ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ作品
ジョン・バリー作品

ルーシーが姉スーザンの姿になり、長兄ピーターと次兄エドマンドを両脇に登場する時に聴かれるのは、 グレン・ミラー楽団(Glenn Miller and His Orchestra)の演奏によりヒットしたイン・ザ・ムード(In the Mood)である.
試聴・ダウンロード 

エンドクレジットで最初に流れるのがキャリー・アンダーウッド(Carrie Underwood)の「THERE’S A PLACE FOR US」.
この歌は、第68回ゴールデングローブ賞 (The 68th Annual Golden Globe Awards)主題歌賞(Best Original SONG – Motion Picture)にノミネートされた.今の所アメリカのアイチューンのみとなっている.
クレジットで最後に聴かれるのが、スタン・ウォーカーの「Stand Up For Love」である.

この機会に是非ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ(Harry Gregson-Williams)が担当したシリーズ最初の二作を聴いてほしい.

ナルニア国物語 第1章: ライオンと魔女

The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe

ヒュー・マーシュのバイオリンとリスベス・スコットの声をふんだんに使ったこのサントラは、ファンに言わせるとシリーズ一番である.
タムナスがルーシーの為に奏でる「A Narnia Lullaby」や「To Aslan’s Camp」は聴きごたえがあるし、「The Battle」と「Only The Beginning of The Adventure」は、いつ聴いても身震いする.

サントラにも入っている挿入歌は、エンドクレジットが流れる時に聴かれるImogen Heapの「Can’t Take It In」.
その次がアラニス・モリセット(Alanis Morissette)の「Wunderkind」.そして、ティム・フィンの「Winter Light」と続く.

子供達がかくれんぼしている時に聴かれる The Andrew Sistersの「Oh Johnny Oh, Johnny Oh!」はサントラに入っていない.

ナルニア国物語 第2章: カスピアン王子の角笛

The Chronicles of Narnia: Prince Caspian

このサントラでは、「いにしえの王と女王」 “The Kings and Queens of Old”と「アスラン塚への旅路」 “Journey to the How” が聴き応えある.
「アスラン塚到着」 “Arrival at Aslan’s How”と「偉大なるライオンの帰還」”Return of the Lion” には涙ぐんでしまう.

スーザンがカスピアン王子にキスした後映画の最後に流れる歌は、レジーナ・スペクター(Regina Spektor)の「ザ・コール」 “The Call”.
その次が、オーレン・ラヴィー(Oren Lavie)の「ダンス・アラウンド・ザ・メモリー」”A Dance “Round the Memory Tree”.
そしてスウィッチフット(Switchfoot)の「ディス・イズ・ホーム」 “This Is Home” が続く.
ハンネ・ヒュッケルバーグ(Hanne Hukkelberg)の「ルーシー」”Lucy” はDVDのみである.

 

関連記事