『ハリー・ポッターと死の秘宝』(原題: Harry Potter and the Deathly Hallows)PART2 のサントラ

『死の秘宝 パート1』のサントラを担当したフランスの映画音楽作曲家アレクサンドル・デプラ(Alexandre Desplat)が、引き続き『死の秘宝 パート2』を担当した.
ハリー・ポッターシリーズ中『賢者の石』『秘密の部屋』『アズカバンの囚人』を担当したジョン・ウィリアムズファンにとっては不満であろうが、デプラ自身ウィリアムズファンである為、彼の作品に敬愛をこめた曲作りになっている.決めつける前に、是非聴いてほしい.

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映画のオープニングシーンは、デプラ自信作「リリーのテーマ(Lily’s Theme)」から始まる.
その哀しく美しい、優しくて子守唄とさえ聴こえるこの歌声は戦慄感さえただよせる.
なんと素晴らしい入り方だろう.
楽器の音色と相まって、歌声は体中を包み込む.ホグワーツにこれから起こる事を、ハリーがこれから立ち向かわなければならない物を知っているかのように.
この女性の声を聴き、すでに涙する自分がいた.
誰がこの劇中歌を歌っているのかを知りたくて、エンドクレジットで確かめると、MAI FUJISAWAと出ていた.
「日本人?」
後に「麻衣」という日本人のシンガーだとわかる.素晴らしい才能の持ち主だ.

『ハリー・ポッターと死の秘宝』PART2のサントラ

「ドラゴンに乗って(Dragon Flight)」は、ウィリアムズの「ヘドウィッグのテーマ(Hedwig’s Theme)」と「リリーのテーマ(Lily’s Theme)」をうまく混ぜ合わせている.

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「ホグワーツを襲う恐怖(Panic Inside Hogwarts)」に始まり、「石の彫像 (Statues)」にいたり、「秘密の部屋で(In the Chamber of Secrets)」まで緊迫したシーン、迫力ある役者を支える音楽がつづく.
「校庭の黙示録(Courtyard Apocalypse)」にいたっては、そのビートが心臓音と呼応し、頂点に立つ.
そして一変するメロディ.

「スネイプの死(Snape’s Demise)」「セブルスとリリー(Severus and Lily)」の切なさ.
「リリーのテーマ(Lily’s Theme)」をアンダートーンに、このエピックの悲劇のヒーローの心情を哀情をこめて奏でている.
スネイプファンでなくてもワンカットごとに彼のわき起こる想いに引き込まれ、流れる涙を拭う間も惜しんで見入ってしまう.そのシーンを支え、俳優の演技を支えるのが音楽なのである.

「ハリーの犠牲(Harry’s Sacrifice)」 は、締めが「ヘドウィッグのテーマ(Hedwig’s Theme)」

「よみがえりの石(The Resurrection Stone)」またも、麻衣の美声が、哀しいまで愛おしいシーンで聴かれ、母と息子の愛情の深さに涙が流れる.
「ハリー、投降す(Harry Surrenders)」のクレッシェンドが響き渡り、ドラマ性を高めるのに効果を表した.

デプラは、各所に聴かれるウィリアムズを意識した曲作りの上に、死というテーマを軽々しくも重苦しくも扱わず、繊細さを残した、エピック映画のサントラ作りに見事成功している.
映画を観終わった後も、是非聴いてい欲しい映画音楽である.


 

関連項目

アレクサンドル・デプラ作品
 

スタッフが絶賛の麻衣は、宮崎駿監督率いるスタジオジブリの「風の谷のナウシカ」の歌も少女時代に歌っていて、作曲家の久石譲氏の娘だとリポートされている.

『ウルルの森の物語』 オリジナル・サウンドトラック
『麻衣』
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