1920年代にアメリカ映画界で大活躍したジャーマン・シェパード(German Shepherd)リン・ティン・ティン(Rin Tin Tin)についての本を少し読んだ.
ここまで動物の犬が、人間の俳優を上回るほどの人気を博した事が他にはあっただろうか、と考えていた帰り道、犬の散歩をしていた隣人が興奮して話しかけてきた.
「金の首輪賞」という賞をここで初めて知る.
犬の情報を専門とするオンラインマガジン「ドッグ・ニュース・デーリー」によって、今年初めて設立された、演技をする犬に与えられる賞の事だ.
彼によると、マーティン・スコセッシ監督が自身の監督作『ヒューゴの不思議な発明』(原題: Hugo)に出演したドーベルマン(Doberman)が、「金の首輪賞」の最優秀演技犬の候補に入らなかった事に対して怒り、ロサンゼルス・タイムズに公開状を載せた、と言うのだ.
その公開状の中で、読者にドーベルマン「Blackie」を候補に入れてもらえるよう記名投票する事を呼びかけ、結果、五百以上の署名が集められ、主催関係者が「Blackie」を候補に入れざるを得なかったらしい.
動物好きのアメリカ人らしいな、と驚きはなかった.
しかし、話はそこで終わらない.
この熱い議論の後、ドリームワークス・アニメーション映画『長ぐつをはいたネコ』(原題: Puss in Boots)の主役「Puss」の声を担当した俳優アントニオ・バンデラスがハフィントン・ポストで「じゃあ、猫は?」と言い出した、と犬好きの隣人は笑いを隠せなかった.
勿論、そういう世間話をしていると、猫好きの別の隣人が現れ、バンデラスを勇気を褒め始める.
面白そうな展開だったので基のソースを調べてみると、スコセッシは、ロサンゼルス・タイムズに公開状ではなく、オプイド(Op-ed、opposite the editorial page の略)を寄稿していたのだ.
While I have been extremely heartened by the reception of my movie “Hugo,” I feel that there is one area where we’ve been severely slighted.
と、はなから「severely slighted」というきつい書き出しで始まるこのオプイドは、スコセッシの思い入れの強さがうかがわれ、自分の演技のうまさを語れないドーベルマン「ブラッキー」にとって力強いサポートであった.
『ヒューゴの不思議な発明』は今年のおすすめ映画のひとつだが、「ブラッキー」とイギリス俳優サシャ・バロン・コーエンの入浴シーンは観客の笑いを誘っていた.
とにかく主役のけなげな男の子を追いかけまくる役回りでさぞかし疲れたであろう.
かわいいだけの犬ではなくアンチヒーローを演じた犬も忘れないでほしい、というのは確かにヴァリッドな意見だ.
一方、どういうつもりなのかは実際インタビューしていないので解釈しかねるが、ハフィントン・ポストに掲載されたバンデラスの寄稿文は、遊び心をのぞかせ、ユーモアたっぷり、チャーミングですらあった.
犬の親友がたくさんいる、と前置きしながらも、猫のためのスポークスマンの役割をしっかり果たしている訳だ.
スコセッシの努力を讃えながら、「それなら」言わせてもらうけど、という感があるが、2004年のアニメーション映画『シュレック2』で登場し、『シュレック3』『シュレック フォーエバー』そして今回の『長ぐつをはいたネコ』と続けて、かっこよく愛らしいキャラクター「puss」を演じたバンデラスが分身である猫に愛情が深まるのも自然であろう.
古い激論;イヌ派?ネコ派?というものを思い起こさせないでもないが、猫好きにとってはうれしいヴォイスであったろうと想像するに難くない.
They may hide them better, but cats have feelings too.
と、最後までかわいらしく仕上げている文章に対して、主催者側が、犬のみの賞は仕方ない事をユーモアを交えてと答えたのも笑いを誘った.
他の映画賞のノミーネートに関してもこのようなやりとりがどこかで行われているかと思うと、代弁してくれる存在がいかに大切かわかる.
猫の情報を専門とするオンラインマガジンはすぐにでも、最優秀演技猫を決める「金のナントカ賞」を企画するべきだ.
誰も設定できないなら、ここで、ノミネートを募集してみようか.
「金のマタタビ賞」?
「金のゴロゴロ賞」?
「金のニャンニャン賞」?
「金の爪磨賞」?
ついでに名前も考えてもらおう.
Best Dog In a Theatrical Film
受賞犬は、朱字.
ノミネート犬の実名、役名、映画タイトル名
- Blackie as Maximilian 『ヒューゴの不思議な発明』
- Cosmo as Arthur 『人生はビギナーズ』(原題: Beginners)
- Denver as Skeletor 『50/50 フィフティ・フィフティ』(原題: 50/50)
- Hummer as Dolce 『ヤング≒アダルト』(原題: Young Adult)
- Uggie as Queenie『恋人たちのパレード』(原題: Water for Elephants
- Uggie as The Dog 『ジ・アーティスト』(原題: The Artist)
Best Dog in a Foreign Film
ノミネート犬の実名、役名、映画タイトル名、国名
- Koko as Red Dog 『Red Dog』 – Australia
- Laika as herself 『Le Harve』 – France
- Biina as Alf 『犬の消えた日 The Day the Dogs Disappeared』 – Japan
- Ichico as Toa 『犬の消えた日 The Day the Dogs Disappeared』 – Japan
終戦ドラマスペシャルとして日本テレビで放映された『犬の消えた日』に出演した犬が二匹揃ってノミネートという快挙.
悲しい役柄だったけど、ジャーマン・シェパードの「アルフ」と、柴犬の「とうあ」ノミネーションおめでとう.
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本当、こうしてみると猫は少ないですね。
やはりスマーフの猫が一番ではないでしょうか?
せっかくだから金のバンデレス賞はどうでしょう?
猫の賞いいですね(=^・^=)
私は、スマーフ(原題: The Smurfs)にでていたネコのアズラエルをノミネートします。
(=^・^=)(=^・^=)(=^・^=)(=^・^=)(=^・^=)(=^・^=)(=^・^=)
名前は「金のニャンニャン賞」でいいと思います。
アズラエルはどこまでが本物でどこまでがCGなんでしょうか。
賞の名前は英語にもならなくちゃいけないんですよね。ニャンニャンってどんな英語になる訳ですか?
The Golden Collar Awards「ゴールデンカラー賞」って響きいいですけど、それに対応するには、The Golden Nail Awards「ゴールデンネール賞」?
猫あまり映画に出てないんじゃないですか?
そうです。犬がやっぱり主役です。