アイディアはある。
成し遂げる強い意志もある。
ないのは「資金」だけ。
そんな人の夢を叶えるための手段としてクラウドファンディングという方法がある。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じ不特定多数、一般の人々や組織に呼びかけ出資を募り、目的を達成するため資金調達を行うことだ。
そのためのクラウドファンディングサービスにはいろいろあるが、キックスターター(Kickstarter)もそのうちのひとつ。
アメリカで設立されたこの民間非営利企業は、クリエイティブなプロジェクト作品を促進するサイトである。
カテゴリーは多岐に渡り、様々な分野においてスタートできるようになっている。
美術・アート (Arts)
漫画・コミック (Comics)
舞踊・ダンス (Dance)
設計・デザイン (Design)
服飾・ファッション (Fashion)
映画・ビデオ (Film & Video)
食物・フード (Food)
遊戯・ゲーム (Games)
音楽・ミュージック (Music)
写真・フォトグラフィ (Photography)
出版・パブリケーション (Publishing)
技術・ハイテク (Technology)
演劇・シアター (Theater)
アカデミー賞にノミネートされた作品のいくつかもこのキックスターターでの寄付金を利用していた。
自主制作映画、インディペンデント映画などの完成を目指す人々が活用するものと思われていたクラウドファンディング。
ところが、ハリウッドでも活躍する俗にいう大物、有名人がこのサイトに名を連ねた事で話題にもなっている。
まず、チャーリー・カウフマン。
『マルコヴィッチの穴』(原題:Being John Malkovich)『アダプテーション』(原題:Adaptation)『エターナル・サンシャイン』(原題: Eternal Sunshine of the Spotless Mind)の脚本で知られるカウフマンが、アニメーション映画『Anomalisa』の資金調達を2012年7月11日から9月9日の60日間の間で成し遂げる。
$200,000を目標にしていながらその2倍を集める事となった。
そしてデヴィッド・フィンチャー。
『セブン』(原題:Se7en)『ゲーム』(原題: The Game)『ファイト・クラブ』(原題:Fight Club)『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(原題: The Curious Case of Benjamin Button)『ソーシャル・ネットワーク』(原題: The Social Network)の監督として知られる彼はアカデミー監督賞にもノミネートされている強物。
そんな彼が製作に関わっているアニメーション映画『The Goon』の資金調達にも利用された。
このプロジェクトの注意書において
「デヴィッド・フィンチャーって金持ちのハリウッド映画監督だろ… なぜ自分で金出さないんだ?」
David Finches is a rich Hollywood director… why doesn’t he fund this himself?
という質問を想定し、その回答としてフィンチャーを含めた製作関係者が自腹を切っている事も伝えている。
この企画は、2012年10月12日から11月11日の30日間行われ、$441,900を確保した。
この後、キックスターター始まって以来の資金が集まる。
それが『ヴェロニカ・マーズ』 (原題:Veronica Mars)。
人気ヒットドラマシリーズが打ち切りになった後、クリエイターのロブ・トーマスと主演女優のクリステン・ベルが映画化を目指すと、2013年3月13日から4月12日の30日間、$5,702,153という目標額を遥かに上回る形でファンやサポーター達が支えたのだった。
このフェノメノン(現象)を目の当たりにして、我もと乗り出したのがザック・ブラフ。
アメリカで大ヒットしたコメディドラマ『scrubs~恋のお騒がせ病棟』(原題:Scrubs)で主役の医師J.D.を演じ人気を博したブラフは、後に『終わりで始まりの4日間』(原題:Garden State)で監督・主演を務める。
テレビでのキャラクターの人柄も相まってファンの多いブラフだが、映画でも新たなファン層を広げ、彼の次の作品を待つ人たちは多かった。
2013年4月24日に始まったファンディングだが、エンディングの5月24日にならずして目標額を大きく超えている。
自分の思い描く映画作りをするための手段を獲得したブラフの新しい映画のタイトルは『Wish I Was Here』(ちなみにこの英語の文法はわざと間違えている)。
寄付金額によって特典もある。
たとえば、10ドルでプロダクションダイアリー、20ドルでサントラとプレイリスト、30ドルでオンラインスクリーニングとQ&A、40ドルでTーシャツといったようなおまけがついてくる。
締め切りまだまだなので、どういうオファーが残っているか見るのも面白いかもしれない。
映画作りはもちろん、他にもプロジェクトのアイディアがある人たちは、ハリウッドの輩が割り入って分前が取られていると思わないで欲しい。
注目されている今だからこそチャンスだと見なし、自ら挑戦していって欲しい。
新しい企画、楽しみにしているから。
〈ショッピング〉 |
---|
【DVD】 チャーリー・カウフマン 作品 |
【DVD】 デヴィッド・フィンチャー 作品 |
【DVD】 ヴェロニカ・マーズ DVD |
【DVD】 Scrubs Import DVD |