ロンドンオリンピック 開会式のハイライト

イギリスのロンドンで開催された2012年夏季ロンドンオリンピック．
アカデミー監督賞受賞者でもある映画監督のダニー・ボイルが総合演出を担当した事もあって、映画関連の見せ場が目白押しでした．
その開会式のハイライトの二つを取り上げます．

 
ひとつは、『幸福と栄光』(英：Happy & Glorious) というフィルム映像から始まる英国女王陛下の登場シーン．
まず最初に、『女王陛下の007』さながらのダニエル・クレイグが、ジェームズ・ボンド役としてバッキンガム宮殿に到着．
そこでは、愛犬家の女王が飼っているウェルシュ・コーギー・ペンブロークが二匹そろって宮殿中を駆けまわっているのです．
コーギー犬につかず離れずされながら、ボンドはエリザベス2世女王を彼女の私室に颯爽と迎えに行きます．
時計に眼をやり咳払いをする日頃は見られない彼の仕草．
机で何かを書いていた女王陛下がやっと後ろを振り向き（ここで女王が本物だった事に驚いてしまう)、

「Good evening, Mr. Bond」
「Good evening, your majesty」

２人は宮殿の外で待機しているヘリコプターへ．
スタジアムに向けて飛行する中、窓の外から景色を眺めるジェームズ・ボンド．
多くの人々が、そしてウィンストン・チャーチルの像まで手を振っています．
空から見る風景を楽しんだ後、いよいよ会場到着．
ボンドが安全を確認したあと女王がパラシュートで降下し、ボンドもそれに続きます．
 

 

 
そしてフィルムから現実へ．
すべてはスタントマンのなすワザとわかっていながら、この演出に観衆が喜ばないはずありません（本当に女王が飛び降りたと思っていた人もいたそうな)．
これが日本であれば、どのキャラクターが天皇陛下をエスコートしてオリンピック会場に現れる事ができるのでしょうか．
エリザベス2世女王がすっきり（同じピンクのドレスで）現れた瞬間、歓声が上がります．
式典にふさわしい粋な演出でした．
 

 
もうひとつの素晴らしいサプライズは何と言っても、ローワン・アトキンソン演じるMr.ビーンの登場．
サイモン・ラトルが指揮するロンドン交響楽団が、ヴァンゲリスによる『炎のランナー』（原題: Chariots of Fire）のテーマ曲を演奏し始めると、カメラが映し出す「あの」顔．
延々と同じ音をシンセサイザーで弾くだけのMr.ビーンは、空いた片手でいろいろしでかすのです．
スマートフォーン（iPhone)、かさ、ティッシュー．
いつまでもつづく単調さに、Mr.ビーンはデイドリーミングの世界へ．
 

 

 
ここで現実からフィルムへ．
オリンピックがテーマの名作映画『炎のランナー』の有名シーン、ランナー（走者）たちがセント・アンドリュースのウエストサンド沿いを走るシーンなのですが、それにMr.ビーンが混ざって走っているのです．
ここでも彼ならではのユーモアたっぷりの運びにスタジアムは湧きます．
もちろん現実へ戻ってのおちも笑えます．
Mr.ビーンならではのこの楽しいスキットに、観客は総立ちで拍手を贈ったのでした．
ローワン・アトキンソン健在です．
Mr.ビーンの作品を再び観たくなった人は多かったでしょう．
 

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