2012年2月26日 授賞式
受賞作品・受賞者は朱字で示されています.
主演女優賞 Actress in a leading role
- グレン・クローズ(Glenn Close)『Albert Nobbs』
- ヴィオラ・デイヴィス(Viola Davis)『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(原題: The Help)
- ルーニー・マーラ(Rooney Mara)『ドラゴン・タトゥーの女』(原題: The Girl with the Dragon Tattoo)
- メリル・ストリープ(Meryl Streep)『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(原題: The Iron Lady)
- ミシェル・ウィリアムズ(Michelle Williams)『マリリン 7日間の恋』(原題: My Week with Marilyn)
<ノミネーション感想>
何故ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)の名前がないのだ、といささか頭を抱えてしまう.
彼女の『少年は残酷な弓を射る』(原題: We Need to Talk About Kevin)をアカデミーが見忘れてしまったとしか思えない.
それとも、主演女優賞のカテゴリーは若い新人に近い女優を入れなくてはいけない、と決まっているのだろうか.これまた理解し難い.
もちろん、クローズとストリープは両者とも演技達者で期待を裏切らない.
第24回東京国際映画祭で最優秀女優賞をとったクローズの男性に化けた演技は、多いに圧倒される.
英国首相サッチャー扮するストリープも、いつも通り素晴らしい.
しかし、彼女達の場合はうまいことを既に納得してしまっているので驚きの要素がなくなってしまっているのかもしれない.
今回はその点で、デイヴィスとウィリアムズのどちらかになる可能性が高い.
デイヴィスの場合、同じ映画の共演者オクタヴィア・スペンサーが助演女優賞をとると予想されているので、重複しないよう昨年もノミネートされながら受賞できなかったウィリアムズに票が入るかもしれない.
マリリン・モンローに思い入れの深いアカデミー会員も多いだろうから、その思い入れの種類によっても審査の仕方が変わってくるかもしれない.
<結果発表感想>
1979年作品『クレイマー、クレイマー』(原題:Kramer vs. Kramer)で助演女優賞、1982年作品『ソフィーの選択』(原題:Sophie’s Choice)で主演女優賞を受賞したストリープが三度目の賞を獲得した.
昨年の主演男優賞受賞者コリン・ファースが高貴なあたたかさをしたためてノミネート女優をひとり一人を紹介していくのに見応えがあった.
クローズには、彼女の演技に驚くばかりだと褒めたたえ、デイヴィスには、長年の功績を凌ぐその深い演技を褒めたたえ、マーラには、優雅かつ大胆な演技をほめるといった紳士ぶり.
ストリープの番になると「マンマ・ミーア!」と間をおいて意味深に呼びかける.
『マンマ・ミーア!』(原題: Mamma Mia!)で共演したふたりだが、彼のユーモアのセンスはゴールデングローブ授賞式で判明したように一流だ.
そして、20歳年下のウィリアムズを師と呼んだ.
『シークレット/嵐の夜に』(原題:A Thousand Acres)で共演しているウィリアムズに優しいまなざしを投げかけ、彼女の才能を若き日から知っているようだった.
ウィリアムズかと見当違いをしたが、ストリープが選ばれた事に会場内でどよめきが広がる.
それは、毎度毎度ノミネートされながら受賞しなかったストリープへの声援か、デイヴィスに間違いないと思っていた者の驚嘆か.
スピーチがうまくスムーズなファースに比べ、それが苦手なストリープがどう対応するかわからなかったが、今回は落ち着いて、デイヴィスのもとにおもむき挨拶を交わす.
ステージに上がる早々「オウ、カモン!」と「オウッ」を繰り返し、クローズが怪訝な顔をする.無理もない.
「アメリカにいる半分の人達が『えー、また彼女』と言っているに違いないわ」と言っておきながら、「まあ、いいけどね」と投げやり.
自分の夫に感謝の意を伝え、同じくアカデミー賞を受賞したメイキャップアーティストを褒め、友人の大切さを長々と説いた彼女にスピーチを止める音楽は流れなかった.
司会のビリー・クリスタルに17回もノミネートされているのだからそれだけで賞をもらえてもいいはず、と言われていたが、やはり彼女を相手に賞をとるのは難しいようだ.
助演女優賞 Actress in a supporting role
- ベレニス・ベジョ(Bérénice Bejo)『ジ・アーティスト』(原題: The Artist)
- ジェシカ・チャステイン(Jessica Chastain)『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』
- メリッサ・マッカーシー(Melissa McCarthy)『Bridesmaids』
- ジャネット・マクティア(Janet McTeer)『Albert Nobbs』
- オクタヴィア・スペンサー(Octavia Spencer)『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』
<ノミネーション感想>
マッカーシーがノミネートされただけでアカデミーの非をすべて許してしまえるような気がする.
しかし、あちらこちらで賞を総なめしているスペンサーが、ここでも受賞するだろう.
<結果発表感想>
巷の予想通りの結果となった.
両側で支えられたスペンサーを大拍手も支える.泣きながら、震えながら、出ない言葉を一生懸命だそうとする彼女がけなげだった.
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よたつくオクタヴィア・スペンサーをスタンディング・オベーションが待っていた。
助演女優賞に輝いた彼女は、共演者や故郷の友人、家族に感謝の言葉。
メリル・ストリープは今回で17回目のノミネーション。2回受賞。
最近の主演女優受賞者は、ほとんどが受賞後離婚している。サンドラ・ブロック(#82)、ケイト・ウィンスレット(#81)、リース・ウィザースプーン(#78)、ヒラリー・スワンク(#77)、ハル・ベリー(#74)。
オクタヴィア・スペンサーがロスに引っ越して来たばかりの時、彼女の自動車が動かなくなって、キアヌが助けてくれたらしい。
それ以来彼女はキアヌの映画は公開初日見ているそうだ。