アカデミー作曲賞(Academy Award for Music: Original Score)のノミネーションの一覧.
- ジョン・パウエル(John Powell)
『ヒックとドラゴン』(原題:How to Train Your Dragon)
- ハンス・ジマー(Hans Zimmer)
『インセプション』(原題:Inception)
- アレクサンドル・デスプラ (Alexandre Desplat)
『英国王のスピーチ』(原題: The King’s Speech)
- A.R. ラフマーン(A.R. Rahman)
『127時間』(原題:127 Hours)
- トレント・レズナー, アッティカス・ロス (Trent Reznor and Atticus Ross)
『ソーシャル・ネットワーク』(原題: The Social Network)ジョン・パウエル、トレント・レズナー、アッティカス・ロスにとっては、初めてのノミネーションである.
小さい頃から「音楽はボクの親友だ」と言ったとされるドイツ出身のハンス・ジマー(Hans Florian Zimmer)は100曲を超える映画音楽を担当してきた.奇しくも、100曲目は『ラストサムライ』(The Last Samurai)だと言われている.
バリー・レヴィンソン監督の妻のおかげで、映画『レインマン』(Rain Man)の音楽を担当し一躍脚光を浴びた彼は、ハリウッド映画界の寵児となり今や映画音楽界のベテラン.
日本人には悔しい映画『ライオン・キング』(The Lion King)で1994年にアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞を獲得、『クリムゾン・タイド』(Crimson Tide)と『ダークナイト』(The Dark Knight)でグラミー賞に輝いている.様々な賞のノミーネーションは数えきれない.
多彩にわたる音楽家と共同で創作する事の多い彼だが、他の作曲者を褒めたり、少しでも制作に関わった人たちに良い評価が与えられるよう配慮したりする事を忘れない.
今回の映画は内容が内容だけに、感傷的なエレメントを少し隠し味として使った上で、醍醐味のある数々の曲は観客の息をのみこむ隙間に入り込む.
傑作 (Half Remembered Dream) や (Dream is Collapsing)はお腹の底から振動の広がりを感じ、その一方 (Time) は胸から浸透し、この曲を聴くと切なくて涙が止まらなくなる.
ハンス・ジマー ファンにとっては、期待を裏切らない音作りだろうが、映画『インセプション』(Inception) のように斬新な視点を求めていた人たちには、夢の中に忘れてきてしまうような曲が多い気がするだろう.秀悦作『ファンタスティック Mr.FOX』(Fantastic Mr. Fox)で賞を取って欲しかったアレクサンドル・デスプラにとっては、The Queen (2006)、The Curious Case of Benjamin Button (2008) につづく四度目のノミネーション.
A.R. ラフマーンは、『スラムドッグ$ミリオネア』(原題:Slumdog Millionaire)で、第81回アカデミー作曲賞、歌曲賞両方とも制覇している.
サントラのレビューでも述べたように、パウエルの『ヒックとドラゴン』は、映画音楽としてだけでなく音楽そのものとして素晴らしい出来である.
レズナーとロスは、彼ら独特の秀悦作を映画音楽界としては新しい仕法で打ち出し、『ソーシャル・ネットワーク』がより高いレベルに仕上がる手助けをしている.
ゴールデングローブ賞を受賞した彼らだが、アカデミーはその斬新さをどう受け止めるのだろうか.素晴らしい候補者が勢揃いした中で、映画音楽ファンにとって残念なのは、以下の作品がノミネーションからもれた事である.
▪ カーター・バーウェル(Carter Burwell)
『トゥルー・グリット』(原題:True Grit)
▪ クリント・マンセル(Clint Mansell)
『ブラック・スワン』(原題: Black Swan)
▪ ダフト・パンク(Daft Punk)
『トロン:レガシー』(原題:Tron: Legacy)【結果】
『ソーシャル・ネットワーク』(原題: The Social Network) の映画音楽を担当したトレント・レズナー, アッティカス・ロス (Trent Reznor and Atticus Ross)がアカデミー賞を受賞.
これで映画音楽界も新しい風が吹く事を受け入れられるというミュージックファンにとってはうれしい結果になった.
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トレント・レズナー最高!ナインインチネイルズだもんね。
トロンのダフト・パンクもよかったけど。